2009-11-23(Mon)

大盤解説レポート

第22期竜王戦第3局

渡辺明竜王2連勝で迎えた第3局は、京都・東本願寺渉成園にて
行われました。そして大盤解説の模様は、関西将棋会館の桐山清澄九段に
よる解説会をレポートしたいと思います。

関西将棋会館

桐山九段は、まずはこれまでの経過を解説。
「第1局は腰かけ銀、森内さんが独創的な指し方をし、一方の渡辺さんは
『そんなんでいいのかな?』という指し方をしたんですが、それが良かった
のか、渡辺さんが勝ちました。第2局は矢倉で、森内さんが、私個人の感想
ですが、『何でこうなったんや?』というような表情をしたように感じ、
負けてしまいました。受けで勝つというのは、相手の攻めを全部読まないと
いけない。羽生世代が相手だと手が読めるが、渡辺さんだと距離感があると
言うか、読んでない手を指されている印象を持っています」

さて対局は、先手▲森内、後手△渡辺でスタート。
10手目△7七角成、▲同銀、△4二銀、▲3八銀、△7二銀、▲4六歩
桐山「角換わりだが、一手損ではない、腰かけ銀の展開でした。
   森内さん、勝負師としては、1局目で負けた腰かけ銀で雪辱をと
   思っているのでしょう。森内さんのこの1局は負けられないぞ
   という闘志、一方の渡辺さんには余裕があるように見えます」

35手目▲3七桂、△7三桂、▲2五歩、△3三銀
桐山「△7三桂と跳ねたので▲2五歩と出た。後手は守勢に回ってしまうので、
攻め気の強い人はしない。▲3五歩、これが攻める場合の常套手段、
後手も素直には取りません。▲1五歩、△同歩、▲2四歩、△同歩と
取らしといてから▲7五歩、これは先に△7三桂ときて攻めて来いと
言っているので、こういう攻め。同歩、同歩ですからこういう手順です
ね。△2三歩、ここが一つの分かれ道。飛車の引き先が、プロもこの
将棋は随分研究しているが、はっきりした結論が出ていない。
▲2九飛、△6三金がいいのではとなっていますが…」

  桐山九段1

59手目▲1一角
桐山「ここでこれがどんな風に効いているのか疑問なんですね。
この後、後手が巧妙…」

△2八馬、▲4九飛、△3八馬、▲6九飛、△4三金
桐山「どう受けましょう?▲4五銀歩取りで桂跳ねて…これはあまりやらない
露骨に▲3三に銀打ち?2一桂取られる駒損は、△3四金で歩取って、
桂取られても、この歩を取るのは大きい」

△4三金、▲2二歩、△3四金、▲2一歩成、△同玉、▲4四角成、△同金
桐山「先手は持ち駒に歩が無い状況で、どうしても細い攻めになってしまう」

▲4五銀
桐山「ここで桂取るのはちょっと、取らないでどのような手を?取らないで
▲3三銀、これがいい手なんですね、先手としては気持ちのいい攻め。
金で取ったら桂跳ねられるし、金取られるし、どうします?受けるのが
難しい…で、知らん顔するんですよ、金取りどうぞと言うんですよ」

△同銀、▲3三銀、△3七馬、▲4四銀不成、△8六歩
桐山「銀取ると桂打たれるのが怖いので▲同歩、(客席に)どっち持ちたい
ですか?」森内の声多く、「先手攻めてますもんね。攻めは細いが、
何とか手はつなげられる。△2五角、狙いは単純、金を取る。金逃げ
たら飛車を取る。先手は歩を受ける?しかし歩は▲4二に打ちたい」
78手目△2五角、▲3九飛、△3八歩、▲2九飛、△2七桂
桐山「1日目で82手、もう終盤…しかし形勢はどっちがいいのか、プロでも
判断できない展開です」

▲6八金寄(封じ手)
桐山「ま、守りは堅くなるという気持ちだったのでは?これは評価の
   分かれるところ。勝てば勝因になる」

△3九歩成▲2四歩、△同歩、▲3三銀不成
桐山「これが面白い。凝った手ですね。成らず成らずと言っている。
   このへんの数手の応酬がなかなか見応えがあるんですね」

△5五馬
桐山「この3九歩成と5五馬、なんの関連性もない。しかし2四歩を悪手と
する手なんですね。さすが竜王と感心しますね」

92手目△2九と、▲3三角、△3九飛、▲8八玉
桐山「さて、ここで控え室でみんなが感心した一手」

  桐山九段2

△7九銀
桐山「常識的には歩なんですが、▲同金でとらせてから△8七歩で詰みですよ。
   逆に先手は、なかなか詰めません。銀打ちに対して取っていたのでは
負けです。さて、どうするか?」

▲9八玉、△6八銀成、▲同銀、△8八歩、▲同金、△8七歩
「筋に入ってきましたね」

▲同金、△6九角成、森内投了。
「△7九銀にはびっくりしました。▲2四歩も悪い手じゃないんですが、
 魅入られるように入っていった…封じ手の段階では、プロでもどちら
 が勝つか分からない展開。しかし2日目、もつれる事なく寄った。どこ
 から読んでいたのか?感心するしかないですね。第4局立会人を務める
 のですが、去年も第4局立会いで、スコアも同じ。森内さんも永世名人
 ですから、このままでは終わらないと…」
2009-11-23(Mon)

新刊将棋本!

11月の新刊

マンガで覚える図解将棋の基本/矢内理絵子・監修/税込1260円
/A5判/土屋書店・刊

初心者向けの基本ルールをマンガと図解で、丁寧に紹介した、入門書の決定版!
女流棋界最高峰のタイトル・女王を保持する矢内理絵子氏が監修した、楽しみ
ながら勝てる将棋を初歩から学べる一冊です。

鈴木大介の将棋力戦相振り編/鈴木大介・著/税込1470円
/四六判/224頁/毎日コミュニケーションズ・刊

現在大流行している中飛車と、根強い人気を誇る石田流の、相振り飛車での
戦いを取り上げています。第1章は相中飛車で、先手が積極的によくしにいく
にはどうすればよいのかを解説。第2章は相三間飛車で、同型に進むと
どうなるかを述べた上で、従来は面白くないとされていた、角交換から
6五角の新研究を披露しています。また後手の最新型である3五歩省略型や、
5三銀型についても詳しく解説してあります。

遠山流中飛車持久戦ガイド/遠山雄亮・著/税込1470円
/四六判/224頁/毎日コミュニケーションズ・刊

本書は持久戦の戦いを中心に解説した中飛車戦法の戦術書です。まずは最近
流行している角交換型の中飛車がどのような狙いを持っているのかを示し、
居飛車が角交換を避けたり、5筋の位を取らせる代わりに居飛車穴熊に組もう
とするなど、最近注目の展開を詳しく解説してあります。居飛車と振り飛車、
どちらかに肩入れすることなく局面を公平な視点で見てあるのも特徴で、
中飛車に苦しめられている方にとっても参考になります。

免状が取れる!初段コース問題集/将棋世界・編/税込1575円
/四六判/224頁/毎日コミュニケーションズ・刊

月刊誌「将棋世界」の人気コーナーである「昇段コース」の過去に掲載された
問題から厳選した102問に加え、谷川浩司・佐藤康光・藤井猛のトップ棋士
3名による新作初段認定問題12問を収録。認定問題に解答応募して全問正解
ならば、初段の認定が受けられます(有料ですが初段免状も取得可能です)。
一回の応募で認定が受けられることはめったにありませんので、免状を取得
したい方も、ご自分の実力を試したい方もこの機会をお見逃しなく。
初段を目指す方に参考になる問題ぞろいの上、正解手がなぜ良いのか、
また他の候補手ではなぜダメなのかが、丁寧に説明されています。

新・東大将棋ブックス定跡道場 一手損角換わりVS早繰り銀/所司和晴・著
/税込1470円/四六判/224頁/毎日コミュニケーションズ・刊

プロで流行の一手角換わりに対しては幾つかの対抗策がありますが、最も
積極的なのが早繰り銀で、序盤から激しい戦いが繰り広げられます。
本書は定跡伝道師の異名を取る所司七段が、その攻防を一冊にまとめた定跡書
です。1つのページに3つの図面を載せ、妥協を許さない研究姿勢で終盤まで
徹底解説されています。
2009-11-23(Mon)

第7回天童将棋駒祭り

将棋駒の名産地・天童が東京に!

山形県将棋駒協同組合は11月20日〜22日の3日間、東京・有楽町の
東京交通会館(1〜2F三省堂書店)の3Fグリーンルームにて、
「第7回天童将棋駒祭り」を開催いたしました。

     天童将棋駒祭り2

会場では、伝統工芸士の逸品ほか天童名産の将棋駒を多数展示、
手にとってご覧いただけるようになっていました。
また、将棋駒の製作実演もあわせて実施。書き師、彫り師の熟練した
技が目の前で見学できました。
さらに書き駒の体験教室も実施されました。

  天童将棋駒祭り1

また女流棋士による指導対局も催され、たくさんの人が一手指された
ほか、見学者も多数訪れていました。

女流棋士の指導対局は、11月20日が藤田綾女流初段で、
11月21日が上田初美女流二段、野田澤彩乃女流1級により
行われました。

  藤田女流初段
     1日目、藤田女流初段による指導将棋の模様

次回開催は再来年、同会場にて催される予定です。
2009-11-21(Sat)

従順ならざるもう一人の日本人

占領を鼻で笑った男
第4局「進駐軍」
従順ならざるもう一人の日本人4
※この漫画は史実を基にしておりますが、あくまでもフィクションです。
 なお、この漫画の無断複製・転用は一切禁止いたします。
つづく
2009-10-22(Thu)

大盤解説レポート

第22期竜王戦第1局

いよいよ開幕、竜王戦第1局は滋賀県は比叡山延暦寺、延暦寺会館にて
行われました。先手は挑戦者・森内俊之九段、後手は渡辺明竜王です。

大盤解説会は、大内延介九段の解説、藤森奈津子女流三段を聞き手に迎えた
新橋駅前での模様をレポートいたします。

       竜王戦1局看板
初手から
▲7六歩、△8四歩、▲2六歩、△3二金、▲7八金、△8五歩、▲7七角
大内「これが森内九段の注文、
   角換わり腰かけ銀という方向に局面が動きました」

18手目△6三銀、▲6八玉、△5四銀、▲5六銀、△4四歩
藤森「腰かけ銀ですね」
大内「いい手、冷静な手ですね」

▲1六歩、△1四歩、▲2五歩、△3三銀、▲6六銀
大内「これは新手でしょう。思いきって戦おうという…」

33手目▲5五銀左、△6三銀、▲4八飛、△5四歩
藤森「65分考えました」

42手目△4四歩、▲5六銀、△4二玉、▲4五歩
大内「えらい勝負手ですね」
△3二玉、▲4四歩、△同銀、▲7九玉、△5二銀、▲3六歩、△3三銀
大内「ここは、△5二銀と引いとかないと、▲4一角という手が
あるという事です」

   竜王戦1局ズームアップ

59手目▲3七桂、△8五飛、▲7六銀、△8二飛、▲7七角
大内「角の打ち手が3つある…6六と8八、これが後で色々あるんですよ。
   6六と打った方が良かったかも…」
△7四歩
大内「これが実に味のいい手。森内九段にしてみれば、しのぐだろうと
   見てたら、受けないで△7四歩と突かれたので、びっくりしたんじゃ
   ないですか?」

▲4四歩、△4二金、▲4五銀、△5三銀、▲1五歩
大内「すぐやっていかない訳には、いかなくなってる。
   とにかくゆっくりした手が出来なくなってるから、端から行った…
   この局面では渡辺さんの方を持ちたいんじゃないかな?」

△同歩、▲3四銀、△同銀、▲3五歩
大内「ここから渡辺さんがうまく指します」

△4七歩、▲1八飛、△5五銀
大内「この銀は、なかなか浮かばない。ここに平然と銀打って、
   ▲7七角が働かなくなりました」

89手目▲3八飛、△同角成、▲同金、△4九飛、▲8八玉、△7五歩
大内「これは、かなり深く読んでないと指せない手、読みきってる…」

98手目△4五玉、▲3四角、△4四玉、▲6一角成、△7六歩、▲7一馬
大内「渡辺さんも危うい攻防するね、これでいいの?どう?おかしいなあ…」

△6二桂、▲8二馬、△7七歩成、▲同桂、△4三銀
大内「おかしいなあ、詰ましにいかないの?▲7九銀で詰むような気が
   するけどなぁ…」

▲4二飛、△5二銀、▲7一馬、
藤森「双方、1分将棋となりました」

116手目△7六桂、▲9七玉、△9九飛成、▲9八金
大内「ここで△9五歩突いて投了だね」
藤森「△9五歩が指されました。大内先生の予想が的中して嬉しいです」
大内「師弟愛だねェ…しかしこれでまだやる気ですかねェ、諦め悪い
   ですからねェ…▲6二馬と取るのか?」
△9五歩、▲3四歩
藤森「王手いきました」
大内「あー王手ねェ、くやしいんでしょう」

   竜王戦1局ズームダウン

△2二玉、▲6二馬、△9八龍、
大内「投了しないかな?投げっぷり悪いねェ」
▲同玉
大内「△9三香か銀か?」
△9七香、126手で森内九段投了。
大内「1局目に挑戦者が勝つと盛り上がるんですが…2局目以降、
   森内さんにも頑張ってもらって7局目までいってほしいですね」
プロフィール

弁慶弥太郎

Author:弁慶弥太郎
弁慶弥太郎っス。某区役所で滞納税の徴収員やってます。取立屋とか言う奴もいます。対象者の一人に将棋のアマチュア強豪ってのがいて、「将棋に勝ったら払ってやる」とかぬかすもんで、現在特訓中です。

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